てつとお(ポケモンガオーレ、アニポケ、鉄道)のブログ

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8150Fの置き換えはなぜ10050型ではなく8111Fなのかを考える 車齢60年で54年を置き換え、異例の置き換え劇


こんにちは!
今回も野田線に関する記事を書いていきたいと思います。
昨日、野田線から8000系の8150Fが去りました。2013年から始まった野田線の世代交代は10年目を迎え、いよいよ最終局面を迎えてきているのだなと実感する出来事でした。ただ、8150Fを置き換えた編成は8111Fということで、同じ8000系同士での置き換えとなりました。更に、車齢を比べると、8111Fは1963年製造で車齢60年、8150Fは1969年製造で車齢54年です。8150Fよりも古い車両で置き換えたのですね。東武鉄道では本線系統で2022年に大規模な減便改正が行われ、車両も余っている状態となっており、数編成に廃車が発生しています。その中には、11666Fと11668Fという2編成の10050型6連編成が廃車になっています。野田線には10050型の6連車が走っていますので、こちらを持ってくる方が正常な置き換えのように見えます。ところが、わざわざ8111Fを持ってきているわけです。なぜこのような置き換え劇になったのか、考えてみたいと思います。

なぜ8150Fを廃車にする必要があったのか


まずはなぜ8150Fを廃車にする必要があったのかという点です。正式な発表はされていませんが、これは単純に車齢と検査期限の関係でしょう。8150Fは来年の3月に検査期限を迎える編成でした。そんな中、今年の10月には全車両が車齢54年を迎えています。これまでの8000系の置き換えでは、できる限り車齢50年を超えた段階での検査を通さなくて良いように置き換えを進めていた傾向があり、東武鉄道にとっては車齢50年というのは大きな区切りになっているようです。そんな中、8150Fは2020年に車齢50年で検査を通過しています。営業車として車齢50年を超えて検査を通したのは初の出来事でした。そして仮に来年の3月に検査を通すとなれば、車齢54年となるわけですね。更に来年度から新型車両が導入されるので、8150Fに検査を通した場合、その直後から置き換えが始まります。そのため、8000系を検査順に廃車にしていくならば、8150Fは野田線8000系の中で車齢が一番高い車両にも関わらず、最後の方まで使うことになります。こういったことを避けたかったというのが8150Fを廃車にした経緯と思われます。  


なぜ8111Fなのか


それではなぜ8111Fが置き換える編成として選ばれたのかという点ですが、こちらには様々な事情が絡んでいるのでしょう。まず一つ考えられるのが、車両数削減のためです。
8111Fは東武博物館保有の動態保存車両ということで、車齢が高くとも車籍は維持する方針であったと思われます。こちらは2019年以降運用実績がないにも関わらず、車籍を維持し続けていた点から見ると分かると思います。このことは8111Fが野田線に転属しようがしまいが変わらないことでしょう。そして所有も東武鉄道ではなく、東武博物館です。こちらが前提となります。
このような前提の上で8150Fの置き換えをどうするか計画が浮上したと思われます。この時点で8150Fを置き換えるには、減便で不要となった10050型の6連車を1編成転属させることや、8111Fを転属させることなど、様々な選択肢があったと思われます。ここで東武が8111Fを転属させたことの意味と言うのは何でしょう。それは保有数を減らすことが出来るという大きな意味があります。10050型1編成を転属対象に選べば、その分廃車にできる10050型は減ってしまうことになります。ところが、臨時運用でしか使い道のなかった8111Fを定期で使うことになれば、8150Fと10050型1編成分、両方とも廃車にできるわけです。使われていない8111Fを活用でき、なおかつ車両数も削減できる。8111Fの転属にはこういったメリットがあるわけですね。
野田線に新型車両の導入のめどが立っていない時期ならばまた違ったとは思います。その場合はおそらく10050型が導入されていたのではないかと思います。2020年まで野田線の車両数が増えた際に、8111Fではなく10050型が転属していたのは、長期活躍が前提の転属だったからでしょう。ただし今回の転属はあくまでも、8150Fの検査期限から、長くとも新型車両導入完了までのつなぎの期間さえ走ればよいわけですから、それぐらいの期間ならば車齢60年の車両だとしても大丈夫だと判断されたものと思われます。(それに、車齢60年とはいえども、ここ10年ぐらいはほぼ動いていなかったので、走行距離自体は車齢50年程度の8000系とほぼ変わらないでしょう。このあたりも関係しているかもしれません。)短期間の活躍を前提とした計画だからこそ、8111Fを使うことで車両数の削減を行うことを東武は選択したのだろうと思われます。


廃車になった10050型  



その他にも8111Fの有効活用、および野田線の注目度を上げるためという面もあると思います。先述の通り、8111Fは2019年以降、検査期限も切れ、休車状態でした。こちらを復活させるにあたり、検査を通したり、デジタル無線対応したり、かなりの費用がかかるでしょうから、復帰後はできる限り有効活用していきたいと考えるのは当然かと思います。ただ8111Fは団臨用ぐらいでしか活用用途がなかったわけですね。そうなるとせっかく復活させても走らせる頻度が少ないという状況にもなります。この打開策として、積極的に走らせることで、動態保存車両に広く様々な人に乗ってほしいという東武博物館及び東武鉄道の思いももちろんあると思います。東武鉄道では、のりものニュースのインタビューに対し、「8000系唯一の原形前面形状車両である8111編成を多くのお客様に触れていただくため、6両編成での営業運転が可能な野田線に転属し、通常の営業運転に供する判断をしました」という回答をしています。このことから分かる通り、せっかく復帰させる8111Fをできる限り有効に使いたいという思惑もあると思います。そして今年は8000系60周年イヤーです。デジタルスタンプラリーや記念切符の発売なども行っています。この8000系の記念イヤーを盛り上げる施策としてもぴったりでしょう。そして野田線は来年度から新型車両を導入します。新型車両の導入の前夜祭的な形で野田線に注目を集めるのにも良いでしょう。8111Fを使うメリットは結構あるのですね。こういった事情と、車両保有数削減事情など、様々なメリットが重なった結果がこういった置き換え劇につながっていると考えられるわけですね。

このように一見ハチャメチャな車両計画に見えても、あえて8111Fを選ぶメリットはあると思います。特に車両削減がやりやすいというのは大きなメリットでしょうね。個人的にはこの差配は賢いなと思います(笑)
後は8111Fがどれぐらい走るのかでしょうね。最短で新型車両導入後、すぐに団体用に戻ることも考えられるかなと思っていますが、この辺りがどうなるか気になることろです。
今後、新型車両の導入でますます盛り上がる野田線。今こそが8000系を記録する最後のチャンスだと思います。8111Fの撮影に行かれた際は、ぜひ他の15編成や10000系列(ファミマ)にも目を向けてみると良いと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました!
引用:車齢60年 博物館の「動態保存車」が東武野田線になぜ!? “フツーに乗れる”異例運用のワケは | 乗りものニュース