てつとお(ポケモンガオーレ、アニポケ、鉄道)のブログ

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地方私鉄が中古車を買えない時代の到来? 伊予鉄新型車両導入に見る


こんにちは!
今回は伊予鉄新型車両導入の話題を中心に地方私鉄について扱っていきたいと思います。昨日、伊予鉄の新型車両の詳細が発表されましたね。形式名は7000系。完全新造の車両で3連×6編成が誕生するようです。伊予鉄の新型車両について、完全新造となる可能性が高いことは明らかになっていましたが、sustina車体でもなく、完全に伊予鉄の独自設計の車両ということでびっくりしました。2025年度から2027年度まで3年間導入されるようですね。


置き換え形式となる700系
今回この記事で考えたいのは伊予鉄が完全新造に踏み切った意味です。伊予鉄の完全新規設計車両は68年ぶりの導入と発表されていることからも分かる通り、伊予鉄は基本的にここ数十年は中古車両の導入をすることが多くなっていました。30年ほど前に2両×2編成のみ610系が新造されていますが、それ以外の車両は全て中古車両となっています。直近では2010年代前半に京王3000系をVVVF化の上、導入していました。ところが、今回は新造車両がまとまった数導入されることになります。この意味は何なのでしょうか。やはり中古の出物不足ということだと思われます。これまで、18m級の車両のみしか導入できない地方鉄道は、大手私鉄の18m車両のおさがりを改造して導入する路線が多くなっていました。ところが近年、大手私鉄の狭軌の18m車両は減っているのですよね。近頃に置き換えが見込まれ、なおかつ車齢もそこまで高くない狭軌の大手私鉄の18m通勤車は東急1000系程度。南海2000系にも廃車が発生するかもしれないという噂はあります。他の路線は標準軌の車両ならば廃車も発生していますが、こちらを導入するにも台車の交換なども必要です。また、18mの出物があったとしても先頭車兼電動車、いわゆる「クモハ」の車両が減っており、導入にも大掛かりな改造が必要になる車両が多いなど、なかなか地方鉄道にとっては良い出物が少ない状況になっています。そういった意味では、近いうちに引退が見込まれる東急1000系が、近いうちでは最後の良い出物になりそうな雰囲気です。(あとは狭軌18mの最後の楽園は名鉄ですかね。)
更に数十年後のスパンで見ていくと、やはり将来的にも18m不足は続いていくと見られています。というのも、18m車両を採用していた路線が20mに切り替えるケースも多くなっているからですね。例えば京王井の頭線。3000系時代の井の頭線は18mでしたが、現在の1000系は20mです。その他、京王の本線の車両も昔は18mでしたが、今では全車両20mです。現在、京王は7000系の置き換えを進めていますが、こちらは20mなので、伊予鉄は700系のように(700系は元京王5000系です)台車を交換して導入…とはいかなかったわけですよね。更に最近では日比谷線直通電車ですね。03系、東武20000系時代は18mでしたが、13000系、70000系は20mです。特に日比谷線の車両の03系の譲渡が進みましたが、今から30~40年後、地方鉄道の03系が老朽化した際、同じく日比谷線の中古を狙おうとしても、13000系は20mなんですよね。そうなると、最近03系を買った会社は将来的同じく日比谷線の中古は変えないわけです。このように、将来的には今以上にますます18m車両の中古車は不足すると見られています。  



このように大手私鉄はどんどん18m車両を削減していく時代。地方鉄道はますます中古を買えない時代が来るのだろうと容易に推測できます。既に一畑電鉄が中古車両が無いことを理由に新造車両導入に踏み切っていましたが、続いて伊予鉄です。また、将来的には岳南電車も新造車導入の可能性が高くなっています。上毛電気鉄道も結果的に中古にありつけましたが、中古が買える目途が立っていなかったころは新造計画がありました。このように地方私鉄は新造車の導入に舵を切っていく方向性になって行かざるを得ないのではないかと思います。個人的にはこの兆候は必ずしも悪いことではないとはおもいますけれどもね…。一度新車を買って、長く使い、置き換えのサイクルを引き延ばすというのは、長期的に見ればその鉄道にとってプラスに作用するのではないかと思います。ただ問題は新造車を導入する体力が本当にない鉄道ですよね…。こういった鉄道は今後かなり厳しい状況になって行くのだろうと思います。
大手私鉄が20m中古車両を購入したり、JR直通をしている会社がJR車両を買ったりする中、地方私鉄は出物にありつけない…中古車市場は確実に変貌しているということを実感しますね。
ということで簡単にですが、今後の地方鉄道の眺望を考えてみました。
最後までご覧いただきありがとうございました!