てつとお(ポケモンガオーレ、アニポケ、鉄道)のブログ

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主に鉄道記事、アニメ感想を書いています。

西武9000系と2000系はなぜ別形式で、9000系だけVVVFを搭載しているのか?


こんにちは!
今回は西武鉄道に関する記事を書いていきたいと思います。
みなさんは西武9000系という形式をご存じでしょうか?


西武9000系
西武9000系は現在は多摩湖線で活躍している形式です。元々は西武池袋線で10両編成を組んで活躍していましたが、2020年からは4両編成に短縮された上で、多摩湖線で活躍しています。池袋線時代は10両編成×8編成が在籍していましたが、多摩湖線では4両編成×5編成が活躍しており、転属時に3編成だけが全車両廃車となりました。その結果、西武鉄道全体でも5編成20両のみしか存在しない希少な形式となりました。
この形式、見た目は新宿線池袋線で活躍している新2000系と似ていると思われるでしょう。


新2000系



このように比べてみてもそっくりですね。車体の基本的な構造は新2000系と全く同じです。違いと言えば、9000系に前面に黒色の手すりが付いていることと、電連カバーの有無(2000系はあり、9000系はなし)ぐらいですね。車体は全く同じ二形式ですが、実は9000系のみVVVF改造が行なわれています。多摩湖戦に2000系ではなく9000系が転属している理由は、VVVF装置を搭載しているからなんですね。それではなぜ9000系だけがVVVF装置を搭載しているのか、そもそもなぜ2000系と形式が分かれているのか、この点を記事にしていきたいと思います。



西武9000系VVVF音。(発車シーン) 音が気になる方はご覧ください。

なぜ2000系と9000系の形式が分かれているのか

まずは2000系と9000系は見た目が同じなのになぜ形式が分かれているのか、この点を書いていきたいと思います。なぜ形式が分かれているのか、それは製造された当初の足回り機器の違いが関係しています。まず2000系の制御装置は界磁チョッパ制御が搭載されています。2016年までは2097Fという編成のうち一部車両に試験的にGTO-VVFが搭載されている車両も存在しましたが、すでに廃車となっており、現存しておらず、かなり特殊な例ですのでここでは省かせていただきます。一方で9000系は、VVVFに換装されるまでは、抵抗制御が使われていました。抵抗制御というのは界磁チョッパ制御よりも古いタイプの制御装置です。基本的にはこの違いが形式が分かれている理由です。9000系は古い制御装置が使われていますが、2000系よりも製造時期が古いというわけではなく、むしろ2000系よりも新しい形式です。(2000系は1992年まで製造、9000系は1999年まで製造)それにも関わらず、時代遅れの抵抗制御が使われているのです。その理由はなんでしょうか。それは9000系が旧型車両の足回りを再利用して作られた形式であるからなんですね。西武9000系は101系という古い形式の車両の足回りを流用して作られました。京成の3400形や東武6050系などと同じく、車体は新造、足回りは再利用というパターンです。足回りの流用というのは、制御装置に留まらず、台車やブレーキ装置も含め、9000系は101系の足回りを流用して作られています。一方で2000系は足回りも車体も全て新造されています。このように足回りが完全に新しいのが2000系、流用されているのが9000系。こういった理由で形式が分けられているのですね。


なぜ9000系VVVF改造が行なわれたのか

それでは9000系VVVFに改造された理由です。それはたった一つ、9000系の足回りが古いからです。抵抗制御というのは国鉄では103系などの時代に使われていた機器であり、とても古い機器なんですね。当然メンテナンスにも手間がかかりますし、電力も消費します。節約のため足回りを流用したのは良いものの、古くなりつつあったのですね。一方で車体は1999年まで製造されていましたので、当然新しいものとなっており、まだまだ使えるので、廃車にするには早すぎます。そこで西武が考えたのが、制御装置をVVVFに換装することです。この換装が始まったのが2003年です。2003年というのは車体が製造されてから3~10年程度。このタイミングでVVVFに換装したとしても十分に元が取れる、そう判断されVVVFに換装されたということですね。VVVF改造の他にも、ブレーキの回生ブレーキ併用対応工事も行われました。台車など使える機器は引き続き利用し、制御装置などは更新する、こういった更新内容で改造が2007年まで行われました。
VVVF抵抗制御界磁チョッパに比べて省電力です。2000系など、他の黄色い電車よりも省電力ですので、そのことを示すようかのように、池袋線時代は省電力ステッカーがついていたりもしました。まるで「私は他の黄色い電車よりも省電力でハイテクなんだよ!」とアピールしているかのようです(笑)2000系とは一緒にされたくない!そんな思いが伝わって来るかのような、結構オチャメな形式だったなと思います(笑)


貫通扉部分のステッカーが省エネステッカーです

そんなステッカーも多摩湖線転属後は撤去され、いまではのんびりと多摩湖線の短い区間を4両編成で走っています。VVVFなので音も静かで、乗り心地も良いですね。この形式はVVVFですので、おそらく長生きするのではないかと思いますが、サステナ車両の動向などによっては意外と短命に終わるかもしれないなと感じます。面白い形式なのでできる限り長生きして貰いたいものですね。
最後までご覧いただきありがとうございました!