てつとお(ポケモンガオーレ、アニポケ、鉄道)のブログ

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【祝】209系 MUE‐Train 落成30周年! 何のお仕事をしている車両なの?


こんにちは!
今回は209系に関する話題です。先日の209系落成30周年記事でも言及した通り、本日はむえ様の愛称で親しまれている、209系MUE-Trainの落成日です!1993年に落成しているため、本日で落成30年ということになります。


209系Mue Train

MUE-Trainは2008年までウラ2編成として京浜東北線で活躍していた209系です。1994年まではウラ105編成を名乗っていました。落成時から209系を名乗っていた車両(量産車)としては2番目に落成した編成で、ウラ1と試作車が廃車となった今、現役最古参の209系となっています。MUE-Trainは現役最古参の209系なので、209系としては初めて車齢30年を突破した209系ということになります。今後、現マリC431編成の両先頭車にあたる、元ウラ6編成の先頭車が3/12に30年を迎えることを皮切りに、営業車でも30年を突破する編成が誕生していきます。本日、まずは一足先に事業用車のMUE-Trainが30年ということになります。
そんなむえ様(打つのが面倒なのでここからむえ様で行きます)ですが、この車両はどんな活躍をしている車両なのでしょうか。事業用車で、お客さんは乗れない…ぐらいの認識を持っている方は多いのではないかと思いますが、詳しい役割はあまり分からないのかもしれません。今回はこの車両について簡単に調べてみましたので、まとめたいと思います。


この車両の役割

まず、むえ様ですが、この車両は2008年に誕生しました。先述の通り、ウラ2編成を事業用車両に転用し、川越車両センターに配置されました。この車両の役割について、デビュー直後の2008年にプレスリリースが出ていますので、貼り付けたいと思います。

https://www.jreast.co.jp/press/2008/20081004.pdf

このプレスリリースを読んで、車両の役割を一言でまとめるとすると、「試験用車両」ですね。次世代のシステムを開発するために用意された試験用の車両ということになります。
プレスリリースにはこの車両の概要についてこのように記載されています。

JR東日本では、研究開発を効率的に推進するための試験電車を製作しており、まもなく完成いたします。この車両を用いて、「車両の性能向上に関する開発」「次世代車両制御システムの開発」「営業用車両を用いた地上設備の状態監視用機器の開発」に関わる走行試験を行ないます。

新型システムを採用する前に、むえ様に試験搭載して、データなどを得てから、営業用車両に使用していく。そのための車両ということですね。その試験の一例として、2008年~2011年ごろに試験された内容がプレスに載っています。その中でも、現在営業用車両で使われているシステムのうち有名なものを載せてみます。

・次世代車両制御システムの開発 モーター・ブレーキの制御装置と指令・状態監視装置の試験
・営業用車両を用いた地上設備の状態監視用機器の開発 レール、架線、保安装置(ATS)などの状態を計測する小型の車両搭載用装置の試験

このシステムは現在の車両にはついている設備になっていますね。例えば、車両制御システムに関しては、現在のE235系に搭載されている「INTEROS」に関する試験ですね。INTEROSとは、E233系などで使われているTIMSの次の制御装置ですが、この制御装置によって、把握できる情報量が大幅に増え、メンテナンス効率をあげることなどにも役に立っている最新型の制御装置です。現在のE235系に搭載されているINTEROSは、10年以上前からむえ様で試験されていたというわけですね。INTEROSに関する情報は下記の国立情報学研究所のプレスで詳しく紹介されています。
https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=repository_uri&item_id=182539&file_id=1&file_no=1

更に地上設備の監視用機器に関しては、線路モニタリング装置が一番分かりやすい例ではないでしょうか。この機器は現在、新型車両だけではなく、211系や205系にまで取り付けられるなど、車齢を問わず幅広い車両に搭載されている設備で、線路状況の確認を営業車両を用いて行うことが出来る設備のことですが、こちらの試験もむえ様が行ったことです。下記の総合車両製作所のプレスに詳細が載っています。
https://www.j-trec.co.jp/company/070/06/jtr06_110-111.pdf



このように現在では非常に重要となった設備の多くの試験をむえ様が担ってきたということになります。そう考えるとこの車両の功績は凄いものですよね。普段あまり目にせず、お客さんも乗せないので何をやっているの?と思われがちなこの車両ですが、実はすごいことをやっているんですね。

上記の試験内容はあくまでも2000年代後半~2010年代前半の試験内容で、最近はまた別の試験をやっているものと思われます。試験用車両なので、何をしているのかを詳細に我々が把握するのは難しいことですが、最近の試験で一つはっきりしているものを挙げると車載カメラの試験です。
車載カメラは、近年のワンマン車両(E131系やE531系のワンマン車、E231系・209系八高線など)に搭載されているものですが、この試験は2020年ごろにむえで行われました。
このように現在のJR東日本で使われている様々なシステムがむえ様の試験によって実用化に至っていると、そのように理解して良いと思います。デビューから30年、JR東日本の新系列電車の先駆けになった形式が、このように最新設備の試験を通して様々な後輩車輛の誕生のきっかけになっているというのは凄いものですね。



そんなMue Train、いつまで活躍するのでしょうか?車体自体は30年経過しましたが、実は足回りはそこまで古くはなく、機器更新を2016年に実施しています。特段足回りが古いわけでもなく、更に営業用ではないないので車体の古さもそんなに気にしなくても良いということで、早々に廃車になることはないのかなと思います。京浜東北線E235系の導入が発表された際、E233系が転用されるのではないかと思っていましたが、結局この話は無くなったので、まだ活躍し続けるのではないかと思います。足回り的に考えると、後10年程度活躍し、最後の原顔の209系になっても全くおかしくはないのではないかと思います。
またこの車両の役目が不要になって廃車となる可能性ですが、JR東日本が様々なシステムをこれからも開発する以上、それはないのではないかと思いますね。まあ、どうなるのか分かりませんけれども…。
今回はMue Trainに関する話題でした。今後も活躍し、是非とも「原顔最後の209系」を目指して頑張ってほしいものです。
最後までご覧いただきありがとうございました!